書籍紹介

著者に聞く! 奄美大島と奄美博物館の魅力 (後編)


『博物館が語る 奄美の自然・歴史・ 文化』 (奄美市立奄美博物館 編)
シゼンノ編集部


前編に引き続き、今回も奄美市立奄美博物館の学芸員・平城達哉さんに奄美大島の魅力について語っていただきます。

 

 

シゼンノ編集部:

今年7月に奄美大島を含む4つの島が世界自然遺産に登録されることが正式決定されましたが、それを受けて、博物館として何か変化を感じられた点などはありますか?

 

平城さん:

決定したタイミングがちょうどコロナ禍の只中ということもあり、観光客の皆さんの反応を感じにくい状況ではあるのですが、その一方で、すでに今年の春の時点から地元の学校の変化を感じています。

自然史分野の出前授業やフィールドワークの依頼が地元の学校から急増しておりまして、4月から今(10月中旬)までで、すでに30回ぐらいおこなっています。

そういったところからも、学校での取り組みが大きく変わってきているように感じます。

 

ちなみに、出前授業などで子供たちと関わっていると、さすがに世界自然遺産に登録されるような環境を身近にして育っている子供たちなので、みんな自然に詳しいんですよ。たまにものすごく鋭い質問をされてビックリしちゃうこともあります。(笑)

 

他にも、博物館では毎年いきもの観察会というイベントをおこなうんですが、今年は応募を開始して半日で募集枠が埋まってしまいました。

非常に関心が高まっているのを感じています。

 

シゼンノ編集部:

それはもう、嬉しい悲鳴ですね。(笑)

 

平城さん:

そうですね。私は奄美博物館に勤務して今年で6年目なんですが、私が入るまでは歴史と文化が専門の学芸員で博物館を運営していました。

そこで、この5年半ぐらいで自然史関連の展示やイベントなどをかなり自由にやらせてもらえていまして、今後は世界遺産関連の企画展などもやっていきたいなと。

 

あとは自然史関連の関心が高まっているのを追い風にして博物館の剥製標本も増やしていきたいとも思っているんです。

現在は、アマミノクロウサギやルリカケスなどのような奄美大島を代表する生き物だけでなく、わりと身近な生き物、たとえばイソヒヨドリやアマミコゲラなど、そういった種の剥製標本を充実させる取り組みを進めています。

なので、今、奄美市内の各学校に「学校内でこんな生き物が観察できます」というような冊子をお配りして、併せて、「万が一死亡個体を発見された場合には引き取りに伺いますので、是非当館の資料収集にご協力ください」という呼びかけをしているんです。

そういった形で学校とも連携を図っているところです。

 

シゼンノ編集部:

たいへん地道な活動もされているんですね。

実は平城さんが個人で開設されているブログも拝見していて、非常に高いクオリティの生物写真が掲載される記事がかなりの頻度で更新されていて本当に凄いなと思っていたんですが、そういった地道さが、ブログのような個人の活動にも現れるんですね。

 

平城さん:

ありがとうございます。(笑)

博物館の公務としても、公務を離れた個人としても、奄美の自然を少しでも広く伝えていきたいと思って活動しています。

あくまでブログは個人としての活動ですが、いつかブログの中で奄美の生き物をすべてカバーしたいと思っています。なので、特定の分類の生き物に偏ることなく、まんべんなく紹介するように心がけています。

(平城さんの個人ブログはこちら  奄美大島いきもの通信

 

シゼンノ編集部:

本当に素敵なブログなので、是非多くの方に見てほしいですね。

最後に、今後奄美を訪れる方に、是非ここだけは行ってほしいとか、見てほしいといった場所を1つだけ挙げるとすれば、どちらになりますでしょうか。もちろん、奄美博物館は必須だと思いますが。(笑)

 

平城さん:

1つかぁ、ちょっと待ってくださいね。(笑)

(少し考える)

先程もお話しましたように、歴史も文化も自然も、奄美大島には見ていただきたいところがいっぱいあるのですが、奄美の自然を感じたければ「奄美自然観察の森」がおすすめです。深い森の中を歩くことができますし、奄美を代表する鳥であるルリカケス、アカヒゲ、オーストンオオアカゲラ、オオトラツグミなどが生息していて、割と高頻度で観察ができるんですよ。

 

シゼンノ編集部:

えっ、オオトラツグミの姿も見れちゃったりするんですか?!

 

平城さん:

はい、可能性はありますね。

奄美自然観察の森は、もちろん森林を歩いたり生き物を観察したりというのも魅力なんですが、展望台に上がると龍郷湾の真っ青な海が一望できたりもします。

自然がお好きな方であれば、森の中、鳥のさえずりや姿、海の広がる景色など、いろいろな奄美大島の自然を感じていただけるのではないかと思います。

なので、あえて1つだけと言われれば、この奄美自然観察の森がオススメです。

 

シゼンノ編集部:

奄美自然観察の森、個人的にも絶対行ってみようと思いました。

本日は本当にいろいろ盛りだくさんのお話をいただきまして、ありがとうございました!

 

(了)

 

2021年11月10日
関連博物館
奄美市立奄美博物館

奄美の自然と歴史を扱う総合博物館。
奄美の独特な自然環境や固有種なども紹介されている。
生体展示も。

  • 現生生物
  • 地元の自然