フィールド
チバニアンのゴールデンスパイクを見てきた(前編)
シゼンノ編集部
『チバニアン誕生』の紹介記事でも触れたが、地質年代の世界標準地層として認められた地点には、その記念碑として「ゴールデンスパイク」と呼ばれる金色の鋲が打ち込まれる。
「チバニアン」の世界標準地層と認定された千葉県市原市の養老川のほとりの露頭(いわゆる「千葉セクション」)にも、去る2022年5月ついにゴールデンスパイクが設置されたとの報に触れ、実際に見学をしてきたのでレポートしたい。
(取材日:2022年6月4日)
ゴールデンスパイクへの道
まずは、ゴールデンスパイク設置場所へのアクセス手段についてだ。
今回はゴールデンスパイクの前にチバニアンビジターセンターに立ち寄って情報収集をする予定なので、最初の目標地点はチバニアンビジターセンターだ。
今回取材担当者が用いた移動手段は、公共交通機関と徒歩。
前向きな理由としては、単に小湊鐵道(ゴールデンスパイクの最寄りの公共交通機関だ)に乗りたかったからなのだが、後ろ向きな理由としては、自動車と運転手の両方とも確保に失敗したからに他ならない。(取材担当者はペーパードライバーである。)
東京方面から公共交通機関で向かう場合、JR内房線の五井駅で小湊鐵道に乗り換え、そこから約1時間の乗車の後、月崎駅で下車する。
月崎駅は小湊鐵道の駅の例にもれず、レトロで小ぢんまりした、旅情を掻き立てる駅だ。
もちろん売店どころか券売機なども無い無人駅だが、トイレ設備は非常にきれいだ。
なお、取材で訪れたこの時点では駅前にヤマザキYショップというコンビニエンスストアがあり、これが駅から半径300m以内に存在する唯一の商業施設であり、月崎駅からゴールデンスパイクへの道程では唯一の小売の店舗である。是非賢く利用したい。
さて、いよいよ月崎駅から徒歩でチバニアンビジターセンターに向かうわけだが、道のりは約2km。ゆっくり歩くと大人の足で30分弱といったところだろうか。
(月崎駅からのタクシー利用については牛久方面からわざわざ呼び寄せる必要があるため、短距離利用は諦めたほうが良さそうだ。)
チバニアンビジターセンター
チバニアンビジターセンターは、千葉セクションとチバニアンの理解を促進するために設けられた施設で、内部には千葉セクションの露頭の見方や、そもそも千葉セクションとはどの範囲を示すのかなどの情報が、コンパクトながら詳しく展示・解説されている。(パンフレットや地図も無料配布している。)
このような解説無しでは、実際の露頭を見ても、チバニアンに当たる地層がどの部分なのかほとんどの人にとって全く分からないだろう。
それどころか、地層といえば縞々を想像するわけだが、その縞々すらロクに見出すことができない地味なビジュアルの露頭なので、絵ヅラ的にもピンと来ないのである。(そのような、縞々の無い地層だということこそチバニアン認定の大きなポイントの1つなのだが、そういうことも予備知識が無ければ考え付きもしないことだ。詳しくは、『チバニアン誕生』をお読みいただきたい。)
もちろん、ビジターセンターの展示・解説を見学したからといって、すぐに全部理解できるわけでもないだろう。
そのため、ビジターセンターでは現地ガイドの申込みも受け付けている。詳しくは市原市観光協会の案内をご覧いただきたい。
また、グッズ類も販売されており、取材担当者はゴールデンスパイクを模した缶バッジをガチャポンで購入した。
なお、ゴールデンスパイクの打ち込まれた露頭付近にはトイレが無いので、ビジターセンターの駐車場に設置された仮設トイレで事前に用を済ませておくことをオススメする。
さて、次回はいよいよ、ゴールデンスパイクが設置された現場についてレポートしていきたい。
(後編へ)